OS の勉強の取っ掛かりに良い−−「Windows はなぜ動くのか」

Windows はなぜ動くのか」を読んでいる。MS-DOS/Windows の歴史に始まり、マルチタスクの実現やハードウェア制御、プロセス間同期など基本的な知識の解説がなされている良書。
内容は、マルチタスク OS 一般に言えることが多く、必ずしも Windows アーキテクチャに限定する必要はないので、タイトルだけで読む読まないを判断されてしまうことを考えると勿体無いことをしているように思える。後半の「プログラム連携のふしぎ」の章に限れば、 Windows API の話が結構出てくるので間違いとは言えないけど。
惜しむらくは、開発者以外の一般人をターゲットにして書かれているため、冗長な文章が多く、逆に混乱してしまいそうな箇所が散見されるという点。技術に明るくない人のために専門用語の乱用を避けた、という趣旨の前書きがあるけれど、ここまで徹底する必要はなかったのではないか。むしろ、必要な専門用語の説明をもっと増やしたほうがすっきりとして、普通の人も読みやすい物となったのではないだろうか。
僕は「はじめて読む 8086」を読んでから OS に興味を持つようになったので、前半部分の x86 の解説も復習になって良かった。同じように x86 アーキテクチャからこういう方面に興味を持った向きにお薦めしたい。
また、上にも書いたように Windows に限らない話も多いので、 UNIX/Linux アーキテクチャに興味がある向きにもお薦めできると思っている。


一番最後の章「ネットワークのふしぎ」は蛇足だよなぁ。 TCP/IP の勉強をちゃんとした人には簡単すぎるし、ネットワークに興味がない人には不必要に詳しい。 Windows のネットワーク機能の解説だけなら良かったのに、 Ethernet の解説になってしまったのは残念。


著者・天野司さんに、開発者向けの Windows の入門書を書いて欲しいと思った。